脳の外側前頭前野には「記憶にあるもの」と「単語」や「文法」を統合し、まったく新しいものを頭のなかで想像することを可能にする機能がある。
興味深いことに、外側前頭前野に損傷がある場合、人は物と物の関係や、相対性を表す文章が理解できなくなるという。例えば「犬は賢い」というシンプルな文章は理解できても、「犬は猫よりも賢い」となると、どちらが賢いのかわからなくなる。「円の上に三角を描く」「春は夏の前に来る」なども同様に、物事の上下関係や前後関係の理解がなくなってしまうのだ。
このように、記憶のなかの複数の単語を意味のあるメンタルイメージとして合成するプロセスは、「前頭前野統合(Prefrontal Synthesis)」または「メンタル統合(Mental Synthesis)」と呼ばれている。