「マーケティングの世界では非常に重要なことが起きていて、その根源にはメディアの消費と、ターゲットのオーディエンスにリーチするために誰もが活用しているメディアの性質がある。かつて私がマーケティング業界に入った頃、B2Cでターゲットにリーチするというのはシンプルだった。マスメディアこそがもっとも効率的で賢い選択であり、ほかの選択はしたくてもできなかった。それこそが当時にB2BとB2Cを隔てる大きな違いのひとつとなっていた。テレビや印刷物、ラジオ、屋外広告といった選択肢しかなかったのだ。デジタルメディアが勢いを強め、誰もが利用するようになるなかでB2Cでも驚異的に正確なターゲティングができるようになった。だがB2Bでは昔から正確なターゲティングが行われてきた。業界紙の大半はデジタルメディアに移行したが、これらが紙媒体で発行されていた時代におけるB2Bの細やかなターゲティングは、B2Cにおけるターゲティングとさほど変わりない。より定量的に考える必要があるし、当時のほうが簡単だったのは確かだ。だが当時のほうがある意味でリスクは高かった。なぜならばメディアとブランドメッセージを1つか2つだけ選択し、それを幅広く流していたからだ。B2Bでも同じような仕組みはあったが、その範囲はより狭かった。当時からB2Cよりも多少正確なターゲティングが行われてきた」