節税スキームの代表例に「ダブルアイリッシュ・ウィズ・ア・ダッチサンドイッチ」があります。その名の通り、二つのアイルランド法人でオランダ法人を挟む形(サンドイッチ)で税金の支払いを少なくする方法です。端的にはアイルランド、オランダ、バミューダの税制の「いいとこ取り」、つまり非課税の部分だけを都合よく取り出して利用するスキームです。

 まず米国からアイルランド法人へライセンス(無形資産)を安価に譲渡して、米国の利益を圧縮します。次にアイルランドでは実際の経営実態の有無で内国法人かどうかが決まるので、2法人の一つをバミューダで経営管理をしてバミューダ法人にします。

バミューダはタックスヘイブンのため無税または低税率となります。アイルランド2社はそれぞれ、ライセンス管理だけを行うバミューダ法人、ライセンスを持つ実体のあるサービス運用会社とします。サービス運用会社からできるだけ多くのライセンス使用料をバミューダ法人に支払って収益を移転させます。このライセンス使用料の支払いの間にオランダ法人を挟み、オランダの租税条約を利用してアイルランドの源泉税は免除となります。バミューダ法人に多額の支払いをしたサービス運用会社はアイルランドの法人税を少なくすることができます。この結果、アイルランドからも、オランダからも課税されずに、利益をプールする法人が生まれます。

 米国の法人税は17年まで40%、18年以降は27%です。欧州委員会によればアップルはこうしたスキームで節税を行い、14年の税率は0.005%だったとのことです。

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