「よくサッカーでは3―0は危ないと言われるんですけど、多分、油断が生じるからだと思うんです。将棋でも大優勢の状態が一番危ないんです。勝勢になると、プロ同士はもう逆転は無いんですけど、勝勢の一歩手前って、どうやっても(どう指しても)良いんです。でもそれが危ない。結構逆転ってあるんです。将棋では対局の優劣をコンピューター解析させて数値化する“評価値”というものがあるんですけど、例えば1500点が勝勢だとすると、そのちょっと手前の800点くらいの状態が一番危ない。もう少し前の600~700点だと、ちょっと指しやすいくらいなので油断はないんですけど、800とか900点くらいになると目に見えて優勢に見えてきて。しかも良い手が1通りじゃないんですよ。これでも良さそう、これでも良さそう、と目移りしてる間に危なくなるという。サッカーも4―0は勝勢です。2点差だとワンチャンスだと思いますし、3点差も結構追いつかれる。将棋でもそういうことあるな、と見ていて思いました。油断なんですよね。人がやることなので、そういうことは起きるんですよね」