クラムニクは、ガルリ・カスパロフから2000年に王座を奪い、数年にわたって世界チャンピオンの地位を保持した。
ところが、競技チェスから2019年に引退したクラムニクは、愛するチェスから創造性が失われつつあるとも考えている。コンピューターが無味乾燥な計算によってオープニング(序盤)とディフェンス(防御)の膨大なライブラリーをつくってしまったせいで、一流プレイヤーがそれを丸暗記するようになったことが一因であると、クラムニクは批判する。
「最高レヴェルのゲームの多くにおいて、ゲームの半分、ときにはゲーム全体が、記憶を頼りにプレイされています」と、クラムニクは指摘する。「しかもプレイヤーは自分で用意した手ではなく、コンピューターに用意してもらった手を記憶してプレイしているのです」