米情報機関の管理下で秘密の活動を数十年にわたって続けてきたスイス企業、Crypto AGの例を見てみよう。同社は機密通信や関連機器を手がけていた企業である。
活動内容が長い年月の間に明らかにされていったにもかかわらず、Crypto AGは2018年まで活動し続け、弱められた暗号を備えたセキュリティツールを外国の政府に販売していた。
『ワシントン・ポスト』の2月11日の報道は、その活動内容を広範囲に暴露している。Crypto AGは1940年代から、米中央情報局(CIA)と西ドイツの諜報機関(のちのドイツ連邦情報局=BND)が共同で所有・管理していたとされる。この関係はBNDがCIAに利権を売る90年代はじめまで続いたという。
報道によるとCrypto AGは、インドやパキスタン、イランなど120以上の国にセキュリティ機器を販売し、安定したビジネスを展開していた。旧ソヴィエト連邦(ソ連)や中国はCrypto AGの機器を一度も購入しなかったが、西側政府とのつながりを懸念していたためと推定される。