2006年12月、ある感染症のニュースが日本の新聞の紙面を賑わせた。1980年代以降、世界中で流行していたカエルツボカビ症という、両生類を死に至らしめる感染症が、日本でも発見されたのだ。
この病気は、カエルツボカビ菌という真菌の一種が病原体とされ、世界では、この感染症によって絶滅した種や個体群も報告されており、両生類の多様性に対する大きな脅威とされていた。
このカエルツボカビ菌は何と、日本が起源である可能性が高いことが示された。本菌の日本侵入の最初の報道以降、結局日本国内で、本菌による野生両生類の被害事例は皆無に近く、また私たちの感染実験の結果からも、日本のカエルは発症しないことが示された。
日本の両生類は、カエルツボカビ菌と古くから共進化しており、免疫を持っているため、感染しても影響を受けないと考えられる。