ブタクサによるアレルギー患者は欧州全体で1,350万人にのぼり、その治療にかかる医療費は年間74億ユーロ(約8,550億円)にもなっているという。
ブタクサの天敵である北米原産の甲虫「ブタクサハムシ(学名:Ophraella communa)」が外来種として入り込んでいる欧州の地域は、そうでない地域と比べてブタクサの花粉量が80パーセントも少ないことがわかったというのだ。
ブタクサは植物のなかでは最大級の厄介者である。ブタクサから花粉や種子がつくられないようにするには、対象地域全体で年3回の刈り取りを行なう必要がある。
「たとえ年2回、地面から5cmの高さまで刈り取ったとしても、まったく刈り取りをしなかった場合と同量の花粉がつくられます。ブタクサは非常に強い再生能力をもっているのです」
「ブタクサハムシは食べて、食べて、食べまくるんです」
「いまにも花を咲かせそうな高さ1mのブタクサも、ひとたびブタクサハムシに襲われると、たちまち茎だけになってしまいました。ブタクサハムシはたった2日で、そのブタクサを死滅させたのです」
ハンガリーはとりわけ深刻で、人口の30〜40パーセントがブタクサアレルギーをもっているかもしれないという。
「暴露量が多くなるほど、より過敏になります」「そして過敏になるほど、症状もいっそう重くなるのです」
ブタクサハムシが生息する地域では、そうでない地域に比べ、抗ヒスタミン薬の売り上げが80パーセントも少ないことがわかったという。
該当地域にブタクサハムシを投入した場合の効果を算定したところ、ブタクサアレルギー患者は最大230万人減少し、医療費は年間10億ユーロ(約1,155億円)以上が削減できる結果になったという。