地球上においても、人間は年間3~4ミリシーベルトの放射線を浴びている。そのほとんどは特定の岩石や、大気圏を通過して届く微量の宇宙線など自然の発生源に由来するものだ。
一方、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士たちの被ばく量は年間約300ミリシーベルトに及ぶ。これまでNASAの宇宙飛行士の実効被ばく線量は、55歳男性で通算400ミリシーベルト、35歳女性の場合はわずか120ミリシーベルトに制限されていた。
これまでよりはるかに長期のミッションに人を送り出す計画が進むいま、NASAはこの上限を宇宙飛行士の性別や年齢を問わず、600ミリシーベルトに引き上げることを検討している。現行の基準では、一部の経験豊富な宇宙飛行士が、生涯被ばく量の上限を超えてしまうという理由で長期の宇宙ミッションから除外される恐れがあるからだ。