YouTubeのレコメンデーションエンジンはあなたの嗜好を視聴履歴や検索ワードから捕捉し、あなたが見たいと思うであろう映像を提案することに長けている。
このレコメンデーション機能は便利である反面、使用者の価値観に合う情報しか提示せず、それと異なる情報は自動的に遠ざけてしまう側面がある。このような状況は、それがまるで片寄った情報しか通さないフィルターの被膜の中に閉じ込められているようであることから「フィルターバブル現象」と呼ばれ、さまざまな批判を浴びてきた。
フィルターバブルの特徴のひとつに、人々がもつ考えを増幅させ、極端に先鋭化した方向に導きやすい性質がある。例えば、あるユーザーが何かのきっかけで環境活動家グレタ・トゥーンベリの活動を批判する映像をYouTubeでいくつか見たとする。すると、それ以降のレコメンデーションには次第に地球温暖化そのものまで否定するような映像が増えていく。そして、このような状態が続けば、たとえそのユーザーが最初はそうではなかったとしても、いつの間にか地球温暖化に懐疑的な意見をもつ立場になってしまう可能性がある、というわけだ。