ある新聞記者がカンサスのド田舎の農夫を取材した。
どうにもネタが無く、その老いた農夫なら何かおもしろい経験をしているのではないかと思ったからである。
まず、記者はこう尋ねた。
「あなたはこちらに長いこと住んでいますが、何かとてもハッピーになった出来事があれば教えて下さい」
農夫は少し考えて答えた。
「ああ、いつだったか近所の羊が道に迷ってな、わしらで捜索隊つくって羊を捜しだしたことがあった。
 見つけた羊はみんなで盛大にファックしてから連れて帰ったなあ」

「そんなの記事にしたらクビにされます。じゃあ他にもっとこう、
 みんながハッピーになった出来事はありませんか」
農夫はまた少し考えて答えた。
「そうそう、いつだったか近所のべっぴんな娘が道に迷ってな、わしらで捜索隊作った。
 羊よりでかい代物だから、捜索隊の人数もずっと多かった。
 もちろん、見つけた娘はみんなで盛大にファックしてから連れて帰ったとも」

「そんなの新聞にのせたら編集長のクビが飛びます。じゃあ、ハッピーな話はもう結構ですから、
 何かとても悲しかった出来事はありませんか」
農夫は途端にうなだれ、黙ってしまった。少しして、絞り出すような声で言った。

「いつだったか、わしは道に迷ってしまってなあ」

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