突然だが、ここでクイズを一つ。

某国某時代、あなたは王様の戯れによって、あるギャンブルに参加させられた。その内容は以下の通り。

あなたの前に三つの扉がある。一つの扉の向こうには金銀財宝があり、二つのそれには銃を構えた兵士がいる。
あなたはその中から一つの扉を選ばなければならず、財宝がある扉を開けばそれを持ち帰ることができるが、兵士のいるほうを開けてしまえば即座に殺されてしまう。
あなたは一番右の扉を選んだ。

すると王様が
「そうか、では残り二つの扉のうち外れ一つを開けてやろうぞ」
と、一番左の扉を開けてみせた、そこには兵士がいた。
「さあ、ここで選んだ扉を変える権利をやろう、今の扉のままでもいいし、中央の扉を選び直してもいいぞ。」

生きて金銀財宝を持ち帰りたいあなた、扉を変えるべきか否か、それともどちらでも同じなのだろうか。
 

当たりとハズレの二者択一なのだから確率は半々で、扉を変えようが変えまいが同じだろう。
そう考える人が多いのではないだろうか。

実はあなたが選んだ右の扉が当たりである確率は三分の一であり、中央のそれは三分の二であるので、扉を変更したほうがいい。

「いやいや、コイントスと同じで裏表、当たり外れだから、どうあがいても二分の一だろwwww馬鹿乙www」

と言いたい気持ちはわかる。

確かに扉が二つになった時点でコイントスによって扉を決め直せば確率は半々となる。
ただこの場合、あなたが最初に選んだ扉と王様が残した扉には価値の差が生まれている。

具体的に説明すると
あなたが最初に選んだ扉が当たりの確率は単純に「三分の一」残った二つの扉に当たりがある確率は「三分の二」

ここで王様はあなたが選んだ扉を開けることはできないので、残った二つのうち一つの外れを開ける。すると王様が残したほうの扉が当たりである確率はそのまま三分の二となり、あなたの選んだ扉は依然として三分の一である。
 
「なるほど、わからん」という方は扉を100にして同じことを考えてみればいい。
100の内あなたが一つの扉を選び、当たる確率は1%である。
逆に言えば残りの扉に正解が含まれる確率は99%である。
しかも、その内ハズレの扉98個を取り除かれる。
残された扉と最初に選んだ扉どちらが当たりの確率が高いのかは明らかだろう。

この問題が成立するには王様が扉の向こうを知っている必要があり、もしたまたま開けた扉がハズレだった場合、確率は半々となる。

この問題の元ネタは米国のクイズ番組「Let’s make a deal」の三枚のドアの向こうにヤギ二匹と新車一台を前述の条件で当てるというもの。

1990年、雑誌「Parade
magazine」のコラムニスト、マリリン・ボス・サバントが読者のこのクイズへの質問に「正解は『ドアを変更する』である。なぜなら、変更した場合に
は景品を当てる確率が2倍になるからだ」と回答したところ、読者から「彼女の解答は間違っている」との約一万通の投書が殺到した。
投書には千人近い博士号保持者からのものも含まれていた。
 
論争は場をニューヨークタイムズに移して続き、1992年、3囚人問題を紹介したマーティン・ガードナーによる解説で収束を見た。
この騒動でこの問題は世間に知れ、番組の司会者「Monty Hall」(偽名)の名から、モンティ・ホール問題と呼ばれるようになる。

ドアが2択になった経緯を知っているか知らないかの情報の差がドアの評価に影響しているので一種の心理トリックになっており、確率論から導かれる結果を説明されても、なお納得しない者が少なくないことから、ジレンマやパラドックスと称されることもある。
「直感で正しいと思える解答と、論理的に正しい解答が異なる問題」の適例とされる。

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