先日の日経新聞にAppleのキャッシュコンバージョンサイクル(CCC)がマイナスになっているという記事が掲載されていました。このCCC、簡単にいうと製品を作るのに費やした費用と製品を売って手に入れる資金の流れを日数で換算したものです。
もう少し簡単に解説すると、どんな製品でも生産をするのにお金がかかります。そして製品を作って在庫になりその在庫が売れるまでの期間があります。さらに、売れた製品の代金を回収することによって最終的にビジネスが成り立ちます。一般的な企業ではこれが30日〜60日程度で推移します。これがAppleの場合、マイナスだということが驚異的なのです。
つまり、Appleは資金を投じて製品を生産する前からお金を手に入れていると言えるのです。そのため、すでに潤沢な手元資金があるにもかかわらず、それを使わずに生産することが理論上可能なのです。おそらく売り先の会社からは前金もしくは納品時に製品代金を受け取っていると推測されます。そして工場への支払いは長い期間の猶予があるのだと考えられます。
これが成り立つのはなんといっても製品に対する強い需要が市場にあり、売り先が喉からでが出るほどその製品を仕入れて販売したいという状況だからです。これもAppleが常にエンドユーザーの欲しがるものを作り込んできた結果といえるわけです。
冒頭のように売上高が伸びると一般的にはキャッシュフローが悪くなります(手元資金がなくなります)。なぜならば、売上げを上げてもそれがイコール現金収入ではないからです。利益率が伸びることである一定期間を過ぎると、利益余剰金の中だけで回すことができるようになるので無借金経営が可能になってきますが、Appleの場合にはCCCがマイナスなため、売上げが伸びてもキャッシュフローが悪くならないという理想的な経営なのです。
業績もさることながら、このような経営をしてきた会社は過去にほとんどなく、だから株価も世界一になるのは当然の結果とも言えるのですが、もう恐ろしいとしか言いようがない状況です。
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