初めて3年前の5月に小泉・ブッシュ会談が行われた時、普通初めて会えば「Hello」とか「How do you do?」とか「Nice to meet you」とか言うにちがいないんですが、小泉総理はいきなり「You know “High Noon”」と言ったそうです。『真昼の決闘』という映画で、Do not forsake me, oh my darling という歌で知られる、あれです。
「You know “High Noon”」。大統領はきょとんとするわけですが、総理がかまわず「You know Gary Cooper」と続けたら、大統領はあのホワイトハウスのローズルームのガラスが震えるような大きな声で「ウワーツ!」と言って、いきなり総理の手を握って、あとはすべてOKだったというんです。その一発だったんだというんです。だから、もうすべてジャパンOKだと言って、国務省もOKと言って、もう全部 OKしたんだそうです。
「You know “High Noon”」、その一発で決まったわけですが、『真昼の決闘』は、われわれの世代の方がだいたい見た映画です。ゲーリー・クーパー演ずる保安官が悪漢を逮捕した。その悪漢どもを刑務所にぶち込んでおいたんだけれども、やつらが出てきてお礼参りに来る。すでに時はたち、ゲーリー・クーパーももうだいぶ年をとっているわけです。年をとっているけれども、お礼参りに来るという噂に対して彼は町の人が助けてくれると思ったら、誰も助けてくれない。それで西部の町の真ん中をとぼとぼと1人で出かけていく時に、Do not forsake me, oh my darling という歌がかかるわけです。それがアメリカだと、ブッシュ大統領はそう思ったのでしょう。
麻生太郎 真昼の決闘 (via thinkupstudio)