このタイプの女性が、底辺生活者サポート施設にはけっこういる。
何らかの才能は明らかに持っているが、障害やメンタルヘルス上の問題などによってそれを社会で換金することの出来ないおばさんたちである。こういう人々はみな独身で、一人暮らしまたは年老いた親と同居しており、身なりなどにも一切かまわないことから年齢よりもずっと老けて見え、「45歳の処女」「口ひげばばあ」等のニックネームがついている。
酒とドラッグとセックスに依存し、ボロボロ子供を産んでは政府からの補助金を欲しいままにする女性たちとは、また別のタイプのアンダークラスの女性たちである。
しかし当該施設のようなチャリティー団体はこのような女性たちの能力に支えられている側面があり、ある者は料理に尋常でない手腕を発揮し、またある者は英国人のくせにブリリアントな計算能力を持っていたり、写真を撮らせればプロ顔負けのおばはんもいるし、やたらめったら絵のうまい人などもいる。
力のある人を世の中は放っておかない。
というのは、わたしの元上司の口癖だったが、ここでは物凄い能力のある人々が埃にまみれて世間の片隅で忘れ去られている。
とはいえ、“力”というものの中には、きっと“実際の作業をする能力”というのはあまり含まれておらず、自己プロモやネットワーキングを行う手腕といった“作業換金力”が80%から90%なのだろう。
だとすれば、前述のおばはんたちには全く“力”はない。
ただ異様なほど“作業を行う能力”に恵まれているというだけで。