マウスに別個体の腸内細菌を移植する実験が行なわれており、攻撃性の高いマウスにおとなしい個体の腸内細菌を移植したところ、攻撃性が下がったという研究結果が報告されています。ほかにも、うつ病患者二千人以上を調査したところ、共通して2種類の腸内細胞が検出されたということが2019年のNature Microbiologyに報告されています。
マウスの実験とうつ病患者の腸内細菌の事例を統合的に考えると、精神状態と腸内細菌の相関はあるのかもしれません。現在、病気の治療として腸内細菌をカプセルで移す治療法が研究されています。東洋医学では赤ちゃんのうんちを材料にした漢方薬がありますが、それと似た話かも知れませんね。
腸内細菌がセロトニンなどの神経伝達物質の前駆体となる低分子化合物を生成していることはすでに明らかになっています。わたしたちはいまの人格や自我は自分のものだと考えていますが、実はその一部は腸内細菌に支配されているのかもしれません。