17世紀半ば、ペストという疫病がヨーロッパを襲い、18ヶ月の期間でイギリス国内だけでも、当時のロンドンの全人口の1/4にものぼる10万人の人々が亡くなった。
1665年には、その蔓延を防ぐために、イングランド全体に対して「ソーシャルディスタンス (社会的距離を置く)」命令が発せられ、大学のキャンパスも無期限の閉鎖になった。その頃の大学生の一人が24歳になったアイザック・ニュートン。
自宅待機を余儀なくされたこの18ヶ月が、その後に「驚異の年 (Year of Wonders)」と呼ばれる、彼にとって最もクリエイティブな期間であり、彼が歴史に名を残す一番大きなきっかけともなった。
この期間に彼は、微分積分学を発見し、万有引力の理論を立て、プリズムを使った実験や光の研究など、光学を探求した。そして、田舎にある実家の裏庭でリンゴが木から落ちるのを目撃したことが、万有引力の着想に没頭するきっかけとなった。