いま大発生しているのは、サバクトビバッタである。サバクトビバッタは、通常は単体で活動する「孤独相」だが、1日に90マイル(約145km)移動できる大群、すなわち「群生相」に変わる20種のバッタのうちの1種だ。

孤独相のバッタが「群生相」に変異し、群れをなして移動するようになるきっかけは雨である。サバクトビバッタは湿った砂地にのみ産卵する。乾いた砂地では卵が暑さにやられてしまうからだ。大雨のあと、バッタは狂ったように繁殖し、砂地は卵だらけとなり、その数はわずか1平方メートルに1,000個ともいわれている。

バッタは草を食べ尽くすと、さらに食べ尽くすための植物を求めて、群れをなして移動する。

その際、サバクトビバッタの体は移動に適した状態へと変化する。筋肉が増え、体色はくすんだ茶色がかった緑色から非常に目立つ黄色と黒に変わる。体色の変化は、群生相になったバッタが孤独相だったときには避けていた、有毒の植物を食べるようになったことと関係があるらしい。食べ物のせいで有毒の昆虫になっていることを、鮮やかな色合いによって捕食者に警告しているのだ。

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