ボーイングの取締役会には5つの委員会(監査、財務、報酬、特別プログラム、ガバナンス・組織・指名)があった。
監査委員会はリスクを監督するが、委員会方針の規定は財務リスクを重視しており、安全性について議論する義務はない。さらに、この監査委員会には内部告発者からの通報を受け付ける仕組みがなかった。株主代表訴訟の訴状によると、この状況はサウスウエスト航空やジェットブルー航空、デルタ航空など、いくつかの航空会社が安全対策に特化した取締役会委員会を設置していることは対照的だ。
ボーイングの取締役会が、安全問題に取り組む委員会を初めて設置したのは2019年4月4日。インドネシアでの1回目の墜落事故から6カ月後、2回目のエチオピアでの事故から約1カ月後だった。
それまで安全問題は、従業員が運営する「安全審査委員会」で審査されていたが、取締役会に報告する義務も仕組みもなかった。一方、ボーイングの取締役会は、2019年に737MAXの運航が停止されるまで、安全審査委員会の存在すら知らなかった。