一般的に一夫多妻の動物の種は、育児に熱心ではありません。
つまり、一夫一婦制の種ほど、雄と雌は生理学的にも行動学的にも似通ってくると考えてよいでしょう。そのよい例は、皇帝ペンギンです。雌の皇帝ペンギンは、大きな卵を産んで2カ月で、エサを取りに海へ戻らねばなりません。代わりに雄の皇帝ペンギンが、なにも食べないまま、厳しい冬に集まり合って卵を温め、その間に体重はガタ落ちします。雄も雌も、育児に多くを注ぎこみ、その外見は似通っています。つまり、性的二型の差異は小さいです。どちらが雄で、どちらが雌なのか、人間には判断しがたいばかりか、当の皇帝ペンギンでさえも、外見だけでは互いを見分けられません。独特のダンスで互いを見分けるのです。皇帝ペンギンは一夫一婦制の動物ですが、ただし、それは1年限りでもあり、次の季節がめぐってくれば別の相手を見つけます。