・かつて、人間の進化の過程において、プラスよりもマイナスを大きく評価する傾向は、今よりはるかにはっきりと現れていた。愚かな失敗は死を意味していたからだ。
・損をしたときに失われる満足感──ショック──は、得をしたときの満足感では埋め合わせられないということが実験で証明されている。こうした傾向を「マイナス過大評価のワナ」と言う。
・他人を説得したいときには、可能性のある「利益」について説明するのではなく、発生する恐れのある「損失」を防ぐことを根拠にするといい。
・何かを失う不安は、それと同じ価値のものを手に入れることよりも、大きな刺激を与える。
・プロジェクトがうまくいってもせいぜいボーナスがもらえるだけで、失敗すれば仕事そのものを失うかもしれない。どうしてそんな危険をあえておかす必要があるのだろう? という理屈である。実際に、ほとんどどこの企業でも、社員が成功して得られるものより、失敗して失うもののほうが大きい。部下にチャレンジ精神が欠けていると嘆いているあなたには、今、その理由がわかったであろう。
・悪いことはいいことよりも影響力が強い。これは変えようがない。わたしたちは、ポジティブなことよりネガティブなことにより敏感に反応する。悪い行動は、よい行動よりもわたしたちの記憶に長くとどまっている。