私たちの多くは、幸せこそが最終目的地だと思わされている。まるで、正しい選択をして、失敗から学び、努力を続ければ、いつかたどり着ける場所であるかのように。

 そして、ひとたびその場所を見つければ、人生は永遠に満足できるものになると教えられている。だから私たちは圧倒され、自分には何かが足りないと思いながらも、その夢を追いかけ続ける。立ち止まり、「本当にそうなのか」と疑問に思うことはけっしてない。

 しかし、その考え方には欠陥がある。幸せは目的地ではない。それは心理状態であり、常にその状態にいる必要はないのだ。そんなことは不可能だし、不健全でもある。

 人生とは複雑で不確実なものだ。山もあれば、谷もある。あなたがずっと夢見ていた昇進を果たした日は、初めて失恋した日かもしれない。悲しみや痛みを知らなければ、どうして幸福を味わえるだろうか。

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