実験では、2通りの方法で内視鏡検査を行いました。
大腸内視鏡検査の詳細を話すのは少しためらわれるのですが、この検査で一番不快なのは、内視鏡が腸内のカーブを曲がるときです。自分が内視鏡検査を受けている状況を想像してください。検査の時間は30分です。
でも、一部の被験者に対しては、検査が終わった後も、5分間だけ内視鏡を肛門に入れた状態にして放っておきました。この状態で痛みはありません。つまり、「30分間の不快な経験をした被験者」と「30分間の不快な経験をした後、5分間、さほど不快ではない時間を過ごした被験者」がいたわけです。
もちろん、内視鏡を肛門に入れた状態は、決して気持ちがいいわけではありません。「この5分間が待ち遠しかったんだ」などと言う人はいません。しかし、この5分間が大きな差を生みます。
人間は「30分間の不快な経験」と「30分間の不快な経験と5分間のあまり不快でない経験」のどちらを好むでしょうか。実験の結果、後者を好むということがわかりました。これは、何事も終わり方が大事だということを示しています。