インドの各州では、COVID-19から回復した患者の間で致命的な真菌への感染例が急増している。「ムコール症」と呼ばれるこの真菌症は、土壌や有機物に含まれる真菌の胞子を人が吸い込むことによって引き起こされるもので、早期に治療しなければ脳にまで致命的なダメージを与えうるという。抗真菌薬の処方のほか、眼球の摘出や頭蓋骨、顎の一部を切除する大手術をする場合もある。

今回のムコール症の患者はほとんどが糖尿病の基礎疾患をもつCOVID-19の重症患者であり、治療におけるステロイドの使いすぎと関連しているという。ステロイドは肺の炎症を抑え、ウイルスを撃退するために起きる炎症反応の一部を食い止めるが、免疫力を低下させて血糖値を押し上げる作用もある。今回のムコール症の発症は、糖尿病をもつ人や免疫力が低下している人、免疫抑制剤を投与されている人に多い。

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