モノポリーとは、「戦略を考え、交渉する力」と「運の力」が必要な不動産売買ゲームだ。
1対1の将棋と違い、モノポリーは4~6人でやることが多いので、中盤戦で複数の人の気持ちになって考え、交渉を行わなければならない。
難しいけれど一番面白い所だ。
サイコロを使うので運の要素もあり、これは新鮮に感じる。
モノポリーの終盤戦は将棋よりも過酷だ。4~6人でやって勝者は1人なので大概負ける。将棋のように斬り合いの一手負けなどはない。
じり貧になり、最後は将棋で言う所の全駒状態(破産)になる。
そのためか、きれいに形作りをする棋士でモノポリー好きは少なく、刀折れ、矢尽きるまで戦うタイプの棋士がモノポリーを好むようだ。
泥臭く粘り強い関西将棋と相性がよく、関西の若手棋士、奨励会員にモノポリー好きは多い。今週、室谷さんもコラムに書いていたが、先日淡路島にフットサル合宿に行った。
昼間はスポーツに汗を流すが、そこは棋士、ゲームおたくの集団(失礼!)である。夜になればボードゲームだ。丑三つ時から始めたモノポリー第4R。5人いたメンバーも一人二人と破産して就寝し、残ったのは稲葉-豊島。
二人だけになってから、さらに1時間サイコロを振り続け、決着がついたのは午前7時。私が勝った。
朦朧として布団にもぐりこんだ私に稲葉君は、
「グリーンに家もう一軒建てとくんやった」
と感想戦を始めた。私は勝った申し訳なさで懸命に相槌を打っていたが、次第にろれつが回らなくなり、しきりにぼやく稲葉君の声を子守歌に眠りに落ちて行った。
どれぐらい経っただろうか
「ブルー+1000ドルで交渉するんやった」
という稲葉君の声で目が覚めた。10時半だった。驚いたことに稲葉君は、先に寝て起きてきたメンバーと感想戦の続きをしていた!
ちなみに、これほどモノポリー好きの稲葉君だが、一人暮らしの彼の部屋にモノポリーはない。将棋盤は6寸盤が2面もある。