―以前の本誌のインタビューで升田先生と将棋を指したいと語っていましたが、どういう所に一番魅力を感じますか。
羽生 最後まで指さなくていいんですけど、序盤戦だけ、20、30手位を10局位指したいんです。そうすると、どういうことを考えてああいう発想をしたのかということがわかるかもしれないから。
―ああいう発想とはどういう発想ですか。
羽生 つまり、升田先生は、未来を見る目を持っていたんですよ。だから、その時はわからなくても、この先何十年か経った時には、この手がいい、新手として残るという、そういう未来を見る目をキチンと持っていた。その未来の目を持つためには、どういう感覚が必要なのかと、どういう発想が必要なのかと、そういうことをできれば知りたかった。
―それは対局の中においてしか知りようがない。
羽生 ないですね。棋譜で見てそれがわかればいいんですけど。もちろん、対局してみる方が数段いいと思います。
―あの人間性が面白いとかいうんじゃなくて(笑)。
羽生 人間的にも面白いと思っていますよ(笑)。個人的には凄く好きな先生です。