渡辺 高校生のときはもう四段になっていましたが、対局以外は将棋連盟に行かないし、研究会も1つも入ってない。だから練習は天彦とネット将棋で指すだけなんですよ(笑)。公式戦以外は、そういう感じの生活でしたね。だから天彦とか、ほかには糸谷君(哲郎八段)とはよく指しましたよ。
佐藤 糸谷さんもたくさん指すのでよくネット将棋で会いましたね。
渡辺 僕は糸谷君から点数を奪ってたんだ。点数が少なくなってくると、糸谷狩りと称して(笑)。
佐藤 その話は2人でしましたね。
――当時はそれほど実力差があったのでしょうか。
渡辺 糸谷君は天彦よりも少し弱かったんだよね?でも、すぐに追いついてきました。
佐藤 僕が中学2年生のときに糸谷さんは1年生で、たしかまだ奨励会の級位者でしたね。
渡辺 ところが、糸谷君があるとき急に強くなったんです。それまでは9-1くらいで圧倒していたのですが、7-3、6-4とどんどん追い込まれて、全然狩れてない。むしろ強敵になってきて(笑)。「あー、ついに中の人が変わったのかな」と思ったんですね。そうではなくて、本人が強くなったというのを聞いて、この子は才能があるなと思いました。