ドイルによれば、経営幹部が陥りやすい2つの大病は、行動経済学でいう「不作為バイアス」と「損失回避」である。
不作為バイアスとは、何かをしないことよりも、何かをすることのほうをより心配する傾向だ。このバイアスが生じる理由は、実行して失敗した結果は誰もが知るところになるが、実行しないことの代償を考える人はほとんどいないことにある。
また損失回避とは、勝つことに賭けるよりも、損をしないことに賭ける傾向だ。「損失の痛みは勝利の喜びの2倍」であるため、創造性が要求される状況においてさえ、人は慎重になってしまうという生来の性質を持つ。
物事を大きく変えたいリーダーは、「失敗も1つの選択肢(failure is an option)」という考え方に慣れる必要がある――これがドイルの結論だ。