リチウム自体は、そこまで希少な金属でない。ただ、リチウムの鉱床は採掘困難な場所に集中している。このためCATLのような企業は、主にオーストラリアやアンデス山脈にある限られた数の鉱山から、供給量の一部を確保すべく競っている。
米国には、地球温暖化の緩和に役立つリチウムイオン電池の製造のために国内でもリチウムを採掘すべきとする考えと、リチウム鉱山周辺の自然環境を保護すべきとする考えがある。このため北米に埋蔵されているリチウムの採掘は、こうした環境論争に巻き込まれるかたちで進まず、米国ではEVのサプライチェーンの保全に関する懸念が高まっている。
電池の材料供給を巡る競争については、イーロン・マスクがその価格と供給の制約からEV用バッテリーの未来における「最大の懸念材料」と呼ぶニッケルや、その70%がコンゴ共和国で採掘されているコバルトのほうがリチウムよりも激しい。