ダーウィンの頭には幼なじみのエマが浮かんでいた。将来を考える相手として気心のしれたエマは申し分なかったが、結婚自体への抵抗感があった。

 ダーウィンは「これが問題だ」というタイトルで結婚の損得対照表を作成。「結婚しない」のメリットとして、次のように書いている。

 「行きたいところに行ける自由、親類を訪問しないですむ、子どものための心配がいらない」

 どうもダーウィンは結婚によって、自由な時間を奪われるのを恐れたようだ。

 一方の「結婚する」の欄では、その思いが顕著に表現されている。

 「子ども、一生の伴侶(老いたときの友人)、家事を担う誰か、こうしたことは健康によい、しかし恐るべき時間の損失」

 比較検討の結果、ダーウィンは次のような結論を導き出した。

 「全生涯を働きバチのように、仕事、仕事で、ほかになにもしないと考えることは耐えられない。結婚、結婚、結婚。証明終わり」

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