よく僕が新人漫画家に言うたとえ話があるんですよ
――例えば、君が大好きだった女の子にデートの約束を取り付けて、その場所に急いでいたとする。そのとき、交通事故で倒れている人がいたら、どうするか。知らない人だったら、きっと君は助けるかどうか迷うはず。でも、それが自分の弟や妹、あるいは友達だったらどうするか。たぶん、君は迷わず助けるんじゃないかな。そして、その君の判断は「身近」に思っているかどうかにかかっている。
「キャラクターを立てる」という事の本質は、ここに尽きるんだよ。キャラクターの「身近さ」を上手く作れているだけで、同じエピソードでも切迫度が一気に違う。