ジョブズが1985年にアップルを去った後、同社は差別化できない「グレーの箱」を売って価格で勝負する戦略にとらわれており、彼が復帰した当時も、会社はその目標に向かっていた。グレーの箱からキャンディカラーのiMacへの移行を実現するには、短期的な不整合による痛みの期間に耐えることが不可欠だった。

 ジョブズにとって、それは財務状況の悪化に対する批判に向き合い、従業員を半分近くに減らし、取締役会のメンバー全員を失うことを意味した。そのような状況を乗り切るには特別なタイプの経営者が必要で、冷徹で独裁的だと思われる人物のほうがより適任だったかもしれない。だが、ジョブズは辛抱強く取り組み、破綻寸前だったアップルを変革し、今日のような世界的成功へと導いた。

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