佐々木八段は、少しでも藤井竜王・名人のペースを乱そうと考えたか、27手目に、工夫を入れた▲5八玉を選択した。ところがこのわずか4秒後、藤井竜王・名人はすっと△4四歩と指した。この光景を見逃さなかったのが、数々のタイトル戦でぶつかり藤井竜王・名人の実力を痛いほどよく知る渡辺九段だ。
渡辺九段 こういう(▲5八玉)のも、すぐリアクションされちゃうんだね。普通だったら「ちょっとなんだっけ」みたいにちょっと固まってほしい。どうやって引き出せるのかね。
渡辺九段 こんな珍しい戦型で「ピッ」と(記憶を)引き出せるかね。そこの思考回路、普通の人の10倍ぐらいで動いている可能性があるよね。思い出すのに数十秒、考えちゃわない?