彼は、ワイヤー型の矯正器具がようやく外せるようになった時に、面白いことに気づいた。
それは、治療後に歯列を保つためにマウスピースを一定期間装着したところ、歯が動いたことだった。数日間、装着するのを忘れるとその動きを実感できた。
画期的な仮説がひらめいた。
「プラスチック製のシンプルなマウスピースで歯を少し動かすことができるのであれば、この技術を改良することで、従来の金属製の歯列矯正ほど目立たずに、歯を大きく動かすことができるのではないか」と。
医師らに提案したのは、ソフトウェアで設計されたプラスチック製の透明で取り外し可能な矯正用マウスピースだった。
この治療法を「インビザライン」と呼び、器具が他人から気づかれにくいことを強調した。
数週間ごとに器具を替えることで、ワイヤーを使うことなく、歯を徐々に希望の位置に動かすのである。
彼らのアライン・テクノロジーは歯科矯正に変革をもたらし、現在の時価総額は150億ドルを超えている。