進撃の巨人にはこの話をしていいのだろうか?という気分になるような話題が戸惑うことなく直に描かれている。

例えば人種差別の問題については、「化け物になってしまう遺伝子」という形で、エルディア人を題材に目に見えない人種差別について描かれており、あまりにもユダヤ人差別と状況が似ている。そのエルディア人の虐殺が、ナチスの優生学思想を思い起こさせるのは言うまでもないだろう。

海外でもリベラル寄りのファンの多くは、この作品をファシズムや人種差別が社会に及ぼす影響をストレートに非難する作品として受け止め、賞賛した。

このリベラル寄りの解釈では、エルディア人イコールユダヤ人だと理解されている。

しかしながら他方で、この差別された者の武装革命を描いたこの作品は、極右のオルタナ右翼にも熱狂的に支持されている。

彼らにとっては、エルディア人は西洋諸国の白人である。

巨人に囲まれたエルディア人は、オルタナ右翼にとって、白人至上主義を忘れた白人たちが、祖先の帝国が犯した罪の罰を受けて、自分たちの土地に入ろうとする人間以下の怪物に包囲されているように映るのだ。

要するにオルタナ右翼にとっては、エルディア人=白人は、非エルディア人=有色人種に対する暴力を放棄した国家指導者に洗脳され、有色人種に共感を覚えるようにリベラル派によって洗脳された白人を表している。

そして、マーレはユダヤ人を代表し、白人が自分自身を憎むように説得していると極右ファンは解釈するのである。

この文脈では狂気に駆られた主人公のエレンが行う民族浄化は、ヒーローが計画する偉業にほかならないことになる。

更新情報知らせます はい 不要