自分が深刻な疾患に晒されたことをプッシュ通知で知るなんて、ディストピアSFのなかのできごとのように思えるかもしれない。
AndroidとiOSのBluetoothシステムに追加される新機能について、5月4日(米国時間)に公表したのである。いずれも新型コロナウイルス感染症「COVID-19」患者の濃厚接触履歴を追跡するために、公衆衛生当局が利用できるシステムだ。
この新型コロナウイルス感染者への濃厚接触を通知するシステムは、4月に概要が公表された通り、毎日変更される暗号化キーを利用してスマートフォン内に固有の識別コードを生成し、Bluetoothの電波に乗せて送信する。
デヴァイスには過去2週間の識別コードのログが残されると同時に、ほかのユーザーのスマートフォンが発するコードも受信する。アプリを起動させている2人のユーザーが一定時間を近接状態で過ごした場合(例えば10分間にわたって2m以内にいるなど公衆衛生当局が定める状態)、スマートフォンが互いの識別コードをBluetooth経由で取得する。
のちに2人のどちらかが新型コロナウイルスの陽性であると診断された場合、本人の同意のもと、過去2週間のすべての暗号化キーがアプリのサーヴァー上にアップロードされ、そこから地域のすべてのユーザーのスマートフォンに送信される。
こうして受信した暗号化キーに基づいて、過去に近接ユーザーから取得したコードを生成できるかチェックする。もし一致するものがあれば、アプリからメッセージが通知される。「あなたは新型コロナウイルスに接触した可能性があるので、自己隔離するか検査を受けてください」