物体が人間の顔に見えてしまう現象を、専門用語で「顔パレイドリア」と呼ぶ。シドニー大学の研究チームによると、人間は身の回りにある物体に顔の存在を見出すだけではない。人間の脳は、物体に見いだした“顔”の感情を、本物の顔を目にした場合と同じように処理する。決して誤検出として排除することはないというのだ。
「わたしたちは高度に発達した社会的な生き物であり、顔を認識することは非常に重要です。(中略)相手は誰なのか、家族か、敵か味方か、目的は何か、どんな気持ちなのか認識する必要があるのです」
そして、次のように続けている。「脳は顔を瞬時に検出しますが、そのために“ひな形”と合致させるような手順を踏んでいるようです。目がふたつ並んでいて、その下に鼻、さらにその下に口があるように見える物体を目にすると、脳は『おや、顔が見えるぞ』と考えます。ちょっと早とちりして間違うこともあるのですが、顔によく似た何かを見つけるたびに、ひな形を合致させる手順を始めるのです」