将棋界は長らく羽生さんがトップに立っていますよね。羽生さんは序盤が本筋追求型で、中盤は効率的な指し方をして、終盤は鬼のように強い。ある意味、「完璧な将棋指し」みたいなスタイルを確立してしまった。みんな子どもの頃からその姿を見ているので、どうしてもそこを目標にしてしまう。本当はそれが、「打倒、羽生!」となればいいのだけど、「羽生さんみたいになりたい」と、見習ってしまう人が多い。そうすると、先手のときは角換わりのように、有利さを発揮しやすい「勝てる定跡」を採用する。後手のときは相手の注文はなるべく受けずに反発して、横歩取りのように理論的というよりは「実戦的」な戦法を指す。