――長門裕之さんと津川さんは兄弟の関係が面白いというか、兄弟仲がいいのか悪いのか全然わからないんですよ。
津川:うん、どっちとはいえないね。子供の頃は仲よく、役者になってから長い間仲悪く、晩年また仲よくなったから、まあ後味は良いよ。とても。
――津川さんに雑誌から電話が掛かってくると、背後で長門さんがコップを割ったりと、若い頃はライバル心も出てきたみたいですね。
津川:僕が『狂った果実』でデビューした16歳のときの話。人気の上で弟に追い越されて、兄として沽券に関わった訳さ。感情が激しやすい質だからね。長門裕之は、桑田佳祐が兄貴に似てるといわれる程、親近感の持てる顔なんだ。だから二枚目がモテるあの時代にはそぐわなかったんだな。はっきりいえば「ブス」さ。これを言うと兄貴はまじで不愉快な顔したけどね(笑)。テレビ時代になって渥美清に代表される、等身大の人気スターを視聴者が求めるようになり、兄貴には良い流れが来た。