「基本的には、我々がスーパーなどで販売する食パンに比べて“ふわふわで甘い”というのが高級食パンの最大の売りです。ただし大半が、特別に良い原材料を使っているわけではありません。甘さも、バターや生クリーム、ハチミツを多く混ぜ込んで作っているんです。まるで菓子パンのように感じられる商品もありますね」
「普通の食パンは『中種法(なかだねほう)』という方法で、簡単に言うと生地をきちんと発酵させて作ります。そのぶん発酵時間をとらねばならず、生地を置いておく場所も必要なのですが、この製法ならば時間が経っても硬くなりにくく、日持ちするパンができます。対して高級食パン店は、大半が『ストレート法』という方法で作っています。こちらは発酵時間が短くて済み、それだけに省スペースの店舗でも大量生産しやすい利点がありますが、美味しさのピークは作った当日で、次の日には味が落ちる。また、焼くとあまり美味しくなく、“生”で食べるのを推奨している店が多いのもそれが理由です。我々のようなパンメーカーは日持ちしない商品を作るわけにはいかないので、高級食パン店のやり方は真似しづらいですね」