10年ほど前の話だ。多剤耐性菌による感染症の蔓延で多くの薬が効力を失うなか、医学界は何年も前に人気を失い棚の奥に眠っていた「コリスチン」という抗生物質に目をつけ、人々の治療に使った。

ところが2015年になると、コリスチン耐性をもつ細菌が世界中に広がりつつあることが判明する。理由は畜産業だった。中国と欧州で、豚の生育強化のために大量のコリスチンが使われていたのだ。それ以来、中国政府は国内の畜産におけるコリスチンの使用を禁止しているが、コリスチン耐性をつくり出す遺伝子は世界数十カ国に広がっている。

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